2014年3月23日日曜日

三国志大戦の創作人物

三国志大戦のTCG版に郭王姫という女戦士が出ています。説明文は次の通り。
徐州の戦いの後、劉備とはぐれた張飛が救った領主の娘。賊を追い払う程の槍の腕前の持ち主だった。
説明文から察するに、これは京劇の創作人物・郭玉娘を改変したセガオリジナルの人物です。

郭玉娘とは当HPの創作女性に名前だけ載せてある人物です。
調べてもめぼしい情報がないので放置状態でした。
それもそのはず、彼女の出る演目は新作の劇かつ2001年に日本だけで上演されました。
中国では上演の機会がなかったようです。
その劇は『戦古城』といい、チラシの画像が以下のサイトで閲覧できます。

楽戯舎-公演実績
折子戯の通し回数28、2001年10/2~11/19の上演、北京京劇院
主演:葉金援、羅長徳、黄彦忠 、石山雄太 
京劇三国志Ⅲ 「戦古城」「水淹七軍」

徐州の戦いの影響で義兄弟と生き別れになった張飛が立ち寄った先で会った女性、という経緯が全く同じです。
他のパンフレットのあらすじでは

張飛放浪中に芒碭山(ぼうとうざん)を訪れる→賊に襲われたが返り討ちにする→ついでに賊の親玉も倒す→根城を失った賊が古城を狙う→古城の将軍・郭常と娘の郭玉娘が応戦→あわや陥落といった時に張飛が来て救われる

大戦の文章はこの辺をざっくりと説明していますね。
「賊を追い払う程の槍の腕前の持ち主」の部分は見当たりませんでした。
というか、賊を追い払った人は彼女じゃなく張飛ですね。
張飛がいなかったら賊に負けていました。だから張飛が救った女性なんでしょう。
たった二文しかない紹介文の中で、こんな訳のわからない説明をかますとは。
今回の件は郭玉娘をもとにしたセガオリジナル命名の女性ですから、オリジナルの背景があると思えばそれまでです。
それにしたって「領地を脅かす賊と戦った女傑」等々と他に言い様はあります。
話の筋と矛盾のある文章を提供して心苦しくならないのでしょうか。私だったら気持ち悪いです。

セガさんが参考にした文献はおそらく誌面でなく、
中国歴史あら?カルト!の「京劇の世界」をクリックした先にある「北京京劇院奈良公演「三国志III」鑑賞記」でしょう。
当HPに郭玉娘の名を載せたのも上記のサイトがきっかけです。
この劇のことは書籍に載っていませんしパンフレットもそうそう出回りません。
原典が見つからないからネット情報を利用した、としてもこのページに郭玉娘が賊を倒した説明はありません。
やはりセガさんの思考は読めません。

カードの説明では触れていませんけど、この物語は最終的に張飛と郭玉娘が結ばれます。
現行の張飛の妻は夏侯氏で通っているので、張飛の妻設定は無しになったようです。
彼女の所属が蜀でなく群雄になっているのも妻設定を省いた影響でしょう。
剛勇無双の張飛に知勇兼備の妻は面白い取り合わせだと思うんですけどね。
ひょっとすると槍の使い手設定は申し訳程度の蜀成分かもしれません。ゲーム上、蜀は槍兵の多い国です。

設定だけでなく名前も違う理由はわかりませんが、名前の発想は次のように予想できます。
大戦TCGは曹仁の娘を曹女、公孫瓉の娘を公孫女と表記して登場させています。
これは当HPの女性一覧の表記を採用した模様です。
このページには郭女王の別称として「郭如玉」を載せました。本当にそういう記録があります。
ここで「玉」は「王」と置き換え可能だと思い、作中では何某の娘に独自で名付ける「姫」を「娘」の代わりに当て、「郭王姫」というオリジナルの人物を作った、といった経緯でしょうか。
真意はどうあれ、大戦は○娘より○姫の女性が圧倒的に多いゲームです。
名前を変えるほうが没個性的ですけど何の意図があるんでしょうか。
このネーミングでは後々王姓の名無し女性を「王姫」と名付けにくくなりませんか。
「王女」では別の意味に聞こえて変ですし、「王氏」は時代問わずわんさか居て見飽きるぐらいです。
せっかく当HPで呉の人物に含めた曹女を魏枠で出す会社ですから、深く考えていないのかもしれません。
曹姓ばかりの勢力にまた曹姓の人を追加したって真新しさがありません。
セガさんは女性人物に対し妙なキャラ付けや萌などに気を遣うわりに、その辺の個性立ちは考えていないようです。
魏版の魏呉の同盟担当なら孫賁の娘で曹彰の妻でも通用します。一説に曹彰の子孫が皇帝という、十分に説明文を書ける経歴持ちですよ。
などと外野がヤキモキしたって何にもなりませんけどね。
郭玉娘のことも含めて記事にできてすっきりしました。

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